Iris スプリットキーボードを組み立てた
Iris キーボード組み立てログ
Iris スプリットキーボード Rev. 2.4 の組み立て記録。
今のところ、キーボードを光らせることに興味がないため、バックライト、アンダーグロー用の LED は付けていない。
画像付きの公式ビルドガイドがあるので詳しくはそちらを参照されたし、といったところだが、個人的にハマったところなどを少し詳しく記載してある。あと日本語。
※記載されている内容は2018/10現在の情報
Iris スプリットキーボードとは
Keebio にて販売されている Columnar staggered (縦がズレている) 56キー (4x6 + 4) x 2 の左右分割キーボード。
※親指キーを 2u にした場合は、54 or 55キー。
キットの入手
キースイッチ、キーキャップ、 LED を除いて、すべて開発元の Keebio で入手可能。(2018/10現在)
必要な部品リスト
- 2x PCB (基板)
- 56x 1N4148 ダイオード
- 親指キーを 2u にする場合は 55 or 54
- 2x TRRS ジャック (4極のオーディオジャック)
- 2x リセットスイッチ
- 2x 4.7kΩ抵抗
- I2C 通信を使う場合: マスター側に2個
- デフォルトのシリアル通信を使う場合は不要
- I2C 通信を使う場合: マスター側に2個
- 2x Pro Micro もしくは互換ボード
- 赤い基板の本家 Sparkfun の Pro Micro は、約2,500円/1個とややお高めのため、安価なクローン品 (500-1,000円/1個) を使うことが主流と思われる
- 54-56x キースイッチ
- Cherry MX もしくは Alps またはその互換品
- Kailh ロープロファイル (Kailh Choc switch) 用は PCB が異なる
- 54-56x キーキャップ
- Cherry MX もしくは Alps またはその互換品
- 1x TRRS ケーブル (4極オスーオス)
- 1x マイクロ USB ケーブル
- 2x スイッチプレート
- 2x ボトムプレート
- スペーサー
- 内側ネジケース: 10x M2 12mm
- 外側ネジケース: 20x M2
- アクリルプレート: 10mm
- ステンレス、PCB プレート: 12mm
- ミドルレイヤーを付ける場合、スペーサーの直径は 3mm 以下
- ネジ
- 内側ネジケース: 20x M2 6mm
- 外側ネジケース: 40x M2 6mm
- (必要なネジは Keebio でケースを購入した場合は付属)
LED を付ける場合
LED を付ける場合は、追加で以下のパーツが必要:
- 2x 4.7kΩ抵抗
- 2x N チャネル MOSFET
- 54-56x 470Ω抵抗
- 54-56x LED (バックライト)
- WS2812B RGB LED (アンダーグロー)
PCB (基板)
PCB データは公開されていないため Keebio より購入する。
価格は、2枚セットで2,000円 ($18) 程度。両面基板のため左右の区別はない。
尚 Keebio で販売されている PCB には以下のパーツが必要数付属する:
- ダイオード
- リセットスイッチ
- TRRS ジャック
- 4.7kΩ抵抗
ダイオード
電流を一方向にしか流さない部品。 (c.f. ダイオード)
Iris では、1N4148 が、キーと同数 (54-56個) 必要。Keebio で手に入る PCB は、スルーホール、表面実装 (SMD) の両方に対応している。
PCB を購入すると、デフォルトでスルーホールのものが必要数付いてくる。表面実装ダイオードを希望する場合は、購入時にコメント欄にその旨記載すれば OK。
スルーホール
抵抗と同じ形状で、ダイオードに針金のような部品が付いている。針金部分を折り曲げて、 PCB の表から裏に通してはんだ付けするので、「スルーホール」。
表面実装 (SMD - Surface Mounted Device)
その名の通り、 PCB 表面に直接はんだ付けするタイプの部品。
1N4148 の場合、最初は部品が小さくて難しそうだが、慣れれば問題ない。
ダイオードの向きを示すマーカーの印刷が薄く見づらい物があるので、はんだ付けは慎重に。
個人的には、表面実装の方がオススメ。理由としては、仕上がりが綺麗だし、はんだ付けも慣れればスルーホールより楽。(スルーホールは、曲げたり、仮止めしたり、カットするのが面倒)
ただし、部品が細かいためピンセットの用意は必須。
ケース、プレート
Keebio より購入するか、公開されているケースデータより作成する。
Keebio より購入
素材は、PCB 素材、アクリル、ステンレスがある。
ケースデータを基に作成
Keebio の GitHub リポジトリ よりケースデータが入手可能。 Keebio で取扱の無い素材、色のケースが欲しい場合は、こちらのデータを利用してオリジナルのケースを作成することができる。 ケースの作成方法はまた別途。
組み立て
一度やってしまえば大したことはないが、Planck (~rev.5 / rev.6 EOTW) などスイッチをはんだ付けするだけのキットよりは、少し難易度が高い。
特に注意すべきは、
- ダイオードの向き
- Pro Micro の向き
- Pro Micro コネクタの破損 (所謂、モゲ)
以後、説明のため、スイッチを実装する面を「オモテ」、ダイオードを実装する面を「ウラ」と呼ぶことにする。
Pro Micro のコネクタ補強
Pro Micro のマイクロ USB コネクタは小さい脚2箇所がはんだ付けされているだけのため、ケーブルを抜く際などに破損しやすい事が報告されている。 この脆弱なコネクタの耐久性を少しでも高めるため、補強を行うのがオススメ。 難しい手順はなく、単にエポキシ接着剤をコネクタと Pro Micro PCB の接合部分に盛るだけ。
ダイオードのはんだ付け
ウラ面にキー数分 (56個) のダイオードをはんだ付けする。
ダイオードには方向があり、Iris の場合は、マーカー (線) がある方を (基板の南側に位置する) 四角いランドにはんだ付けする。
予備はんだ
表面実装 (SMD) ダイオードを用いる場合、テープなどで部品を固定することが難しいため、2箇所のうち1箇所のランドに予めはんだを盛る。(予備はんだ)
イチイチ道具を持ち替えるのは面倒なため、まず全部のランドに予備はんだするのがオススメ。
4.7kΩ抵抗のはんだ付け (I2C 通信を使う場合)
USB ケーブルで PC と繋ぐ側 (マスター) のみ抵抗をはんだ付けする。通常は、左側にすることが多い。(なぜかは知らない)
特に方向はないため、脚を折り曲げて左側ウラ面からスルーホールに通してはんだ付けする。
特にコツなどはないが、脚を通したあとマスキングテープやカプトンテープで固定しておくとはんだ付けが楽。
TRRS ジャックのはんだ付け
ウラ面にはんだ付けする。 必要ならはんだ付け前にテープで固定しておく。
リセットスイッチのはんだ付け
TRRS ジャックと同様、ウラ面にはんだ付けする。
ピンヘッダのはんだ付け
Pro Micro を取り付けるためのピンヘッダをはんだ付けする。 Pro Micro には、片方のピンが長くなっているピンヘッダが付属していることが多い。 金属製のピンは余分な部分を後で切り取るため、どちらを基板側にしても良いが、長い方を基板側にした方が Pro Micro のはんだ付けが楽。
- 長い方のピンをウラ面から PCB に挿す
- Pro Micro をピンヘッダ挿す
- これはピンヘッダの位置決めするためだけ。 Pro Micro はまだはんだ付けしない <- これ重要
- ウラ面から Pro Micro ごとテープで固定
- オモテ面からピンヘッダをはんだ付け
- オモテ面に出たピンヘッダを脚を切る
- 位置決め用のテープと Pro Micro を取り外す
スイッチをはめる
特に順番というのは無いが、まず四隅のスイッチをはめてはんだ付けすると、プレートが外れなくて良い。
スイッチのはんだ付け
オモテ面に実装するので、はんだ付けは裏面から行う。
Iris PCB は、プレートマウント、 PCB マウント両方に対応しているのでお好みで良いが、スイッチの入手性などからプレートマウントにすることが多い。
一部スイッチの脚をカット
Pro Micro 裏に2つスイッチがあり、スイッチの脚と Pro Micro のピンがショートしてしまう可能性がある。 これを防ぐためスイッチの脚をカットするか、スイッチ部分にテープを貼って対策する。
ファームウェア書き込み
事前に Pro Micro が壊れていないこと、ファームウェアが正常に書き込めることを確認する。 はんだ付けした後に Pro Micro が動作しないことが判明した場合、 Pro Micro を交換することになる。 スイッチ等他の部品と違い Pro Micro はピン数が多いため、取り外すのはかなり面倒。
- Pro Micro をマイクロ USB ケーブルで PC に接続
ファームウェア書き込みコマンドを実行
cd /path/to/qmk_firmware make iris/rev2:default make iris/rev2:default:avrdude QMK Firmware 0.6.121 Making iris/rev2 with keymap default and target avrdude avr-gcc (GCC) 7.3.0 Copyright (C) 2017 Free Software Foundation, Inc. This is free software; see the source for copying conditions. There is NO warranty; not even for MERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE. Size before: text data bss dec hex filename 0 26280 0 26280 66a8 .build/iris_rev2_default.hex Compiling: tmk_core/common/command.c [OK] Linking: .build/iris_rev2_default.elf [OK] Creating load file for flashing: .build/iris_rev2_default.hex [OK] Checking file size of iris_rev2_default.hex [OK] * File size is fine - 26280/28672 (2392 free) Copying iris_rev2_default.hex to qmk_firmware folder [OK] Detecting USB port, reset your controller now.......
- 上記メッセージを確認後、 Pro Micro の
GND
とRST
をショートする- なんだが小難しいが、単にピンセット等で
GND
とRST
に同時に触れて通電させれば OK
- なんだが小難しいが、単にピンセット等で
念の為確認
ファームウェアが書き込まれると、 Pro Micro がキーボードとして認識されるようになる。
Windows ならデバイスマネージャ、 macOS なら Karabiner-EventViewer などで確認する。
Pro Micro のはんだ付け
ここまでくればあと1歩。 Pro Micro をはんだ付けする。Pro Micro の取り付けには向きがあるので注意。
このとき PCB に記載のピン名と Pro Micro のピン名を合わせる。(これが逆になっていると正しく動作しない)
実際には、一番外側の TX0
と RAW
を合わせれば事足りる。
ピンが邪魔で少しはんだ付けがやり辛いが、そこは頑張る。はんだの量は穴が埋まるくらい入っていれば良い。
ピンヘッダのピンを切る
短いピンならあっても問題ではないが、あっても仕方ないので余計な部分をカットする。
ケースの組み立て
Keebio で手に入るケースは2タイプあるが、ともに2枚の板で挟むタイプの、所謂「サンドイッチケース」。
PCB 自体をネジ止めする「Interior screws」は左右各5箇所、ケースをねじ止めする「Exterior screws」は各10箇所ネジ止めする。
ここまで終わると片手側が完成。
右手側の作成
基本的には左手側と同様だが、左手側とは反対側の面に部品を実装する。 また、「I2C 用4.7kΩ抵抗」の実装は不要。