ダブルショット (2色成型) キーキャップについて
ダブルショットキーキャップを初めて見たときに、想像以上に細かく、多彩な色の表現が可能でちょっと感動したのを共有したいということで、このお題。
キーキャップの種類
ここでいう種類というのは文字 (レジェンド) の印字方法のこと。 よく使われる方式は大きく4種類。
デカール
無刻印のキーキャップに文字通りデカール (シール) を貼る。安価。
シールといっても良くあるステッカーなんかよりは摩耗しにくいものが使われるが、やはり摩耗には弱いし、特に爪などによって削れてしまう。
レーザーマーキング
レーザー光によりキーキャップ表面を溶かす、または、変色させるなどして刻印する方式。 カラーの表現も可能なようだが、色数は多くないようである。 東プレ Realforce の一部モデルはこの方式を採用している。 *1
昇華印刷
通称「ダイサブ」または「Dye sub」。素材にインクを染み込ませるため摩耗に強く印字が消えることはほぼ無い。 デメリットとしては、基本的に素材の色よりも濃い色の印字しかできない、*2、素材にインクを染み込ませるため、にじみが出る場合があることなど。 東プレ Realforce はこの方式で印字されているモデルが多い。
ダブルショット (2色成型)
ベースとレジェンド用の2色のプラスチックを使用する。素材は加工が容易な ABS 樹脂が用いられることが多い。*3 昇華印刷とは異なりベースの色よりも薄い色でレジェンドを描くことが可能。また、レジェンド自体をプラスチックで表現しているため、ダイサブのような滲みも出ないし、レジェンドが消えることが無い。
MiTo の Pulse SA のような黒地に水色といった表現は昇華印刷では不可能。*4 デメリットとしては、レジェンドに応じた金型が必要になる、また、使用する素材の量も多くなるため高価になりがちなことが挙げられる。
*1:REALFORCE91UBK-S, R2TLS-JP4-BK など
*2:白地に黒は可能だが逆はできない。これを克服する方法としては、リバースダイサブ、エアダイサブといわれる方法がある。
*3:PBT のダブルショットも存在するが、加工が難しいことから、2018年12月現在、主流にはなっていない。
*4:DSA Groove は昇華印刷で黒地に赤などを表現しているが、これはリバースダイサブといわれる、赤地の文字部分以外を黒で染める手法で実現されている。